前回の記事「シンセサイザーのフィルター・エンベロープ」では、フィルター・エンベロープ関連のパラメーター(つまみ)の説明をしました。今回は「フィルター・エンベロープのADSR」について説明していきます。
フィルター・エンベロープのADSRはフィルターの開閉を時間的にコントロールします。言い方を変えるとフィルターのCUTOFFを「モジュレーション」します。「モジュレーション」とは「くすぐられて揺れる」事です。CUTOFFがくすぐられて揺れて、音色変化するのです。
目次
フィルター・エンベロープ・ジェネレーターのおさらい
フィルター・エンベロープ・ジェネレーターは「音色が時間的にどう変化するのか」をコントロールするものです。
この図で説明します。
簡潔に言うと。①のCUTOFFで設定した値を基準として、音を鳴らした時、①のCUTOFFで設定した値の音色からスタートして、②のフィルターADSRでフィルターの開閉を時間的にコントロールします。その効きの強さを決定するのが③のENVELOPE(エンベロープ)です。フィルター・エンベロープを操作していて混乱してしまったら、この事を思い出してください。
今回の記事はフィルター・エンベロープ・ジェネレーターの中の②のフィルターADSRについて詳しく説明していきます。
フィルター・エンベロープのADSR
図の②がフィルターADSRとなります
③のENVELOPEがセンターの「0」だと「効果なし」となるので、②のフィルターADSRをいくら頑張って設定しても音色変化なしです。つまり③のENVELOPEがセンターの「0」だと、最初に設定したCUTOFFの音色を貫きます。この点に気をつけてください。
ローパスフィルターが最もよく使うフィルターなのでローパスフィルターを使って説明します。図の④ではローパス・フィルター、-24dB/oct(LP24)を選択しています。
上の図はフィルター・エンベロープのADSRの動作を図にしたものです。記事を読んでいて頭が混乱したらこの図をみて頭を整理してください。
A(アタックタイム)とS(サステインレベル)
A(アタックタイム)とS(サステインレベル)について同時に説明します。
カットオフでの設定位置から音がなり始めるのですが、アタックタイムはそこからどれくらいの速さでフィルターが開く(閉じる)かを決定するものです。サステインは最終的に音が落ち着く位置です。
アタックタイムとサステインレベル 例1
ローパス・フィルター24(LP24)。
効果ををわかりやすくするため③のENVELOPEを右方向(+方向)に強めに回して固定しました。
CUTOFFで設定した値から音がなり始めますがA(アタック)で設定したスピードでフィルターが開きます。この例ではA(アタック)を半分くらいまで上げています。 S(サステイン)が「0」なので最終的にカットオフでの設定位置に戻ってきます。
フィルターがゆっくり開いて最終的にS(サステイン)が「0」まで戻っています。
アタックタイムとサステインレベル 例2
先ほどの設定から②のフィルターADSRのA(アタック)部分のみ短くしました。
その他の設定は何も変えていません。
Sが「0」なので最終的にカットオフでの設定位置に戻ってきます。
Sが「0」なので最終的に落ち着く位置は同じですが、アタックが短いのでフィルターが開くスピードがはやくなったのが分かったと思います。
ディケイタイム
ディケイタイムはS(サステイン)の位置まで戻るはやさを決めるところです。図ではD(ディケイ)を真ん中まであげています。
A(アタック)で設定したスピードでフィルターが開いた後、D(ディケイ)を真ん中まであげていますのでS(サステイン)まで戻るのに少し時間がかかっているのがわかります。
大事なことは「CUTOFFで設定位置」が音のなり始めの位置であり、なおかつサステインが「0」の時にディケイを経て最終的に落ち着く位置だということです。
リリースタイム
鍵盤を離したあと、最初に設定したCUTOFFの値まで戻る時間を決めます。シンセサイザーの「アンプ・エンベロープ」側のリリースタイムで、鍵盤を離してすぐに音が消える設定にしている場合は、フィルター側のリリースタイムはあまり意味を成しません。
シンセサイザーでプリセットに頼らない音作りをするために、基本かつ大切な知識なので頑張って理解してください。
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