「シンセサイザー・シリーズ」でございます。
今回はシンセサイザーの「フィルター・エンベロープ」についての記事です。シンセサイザーでの音作りの中でも「アンプ・エンベロープ・ジェネレーター」や「フィルター・エンベロープ・ジェネレーター」あたりは少しややこしくなってきますが、「俺、シンセ使えるぜ! き・み・は どうですか?! フンッ!」と言えるために(やな奴)、ここは踏ん張りどころなので頑張って理解して下さい。ちなみに「アンプ・エンベロープ・ジェネレーター」については、前のシンセサイザーの記事で取り扱っておりますので参考にして下さい。
「フィルター・エンベロープ」は正式には「フィルター・エンベロープ・ジェネレーター(Filter Envelope Generator 略してFilter EG)」と言います。舌のかみそうな名前が出てきましたが、まずは、「エンベロープ・ジェネレーター(Envelope Generator 略してEG)」とは何かを理解しましょう。
エンベロープ・ジェネレーターとは
皆さんが聴いている音というのは鳴ってから鳴りやむまで、実は時間経過とともに刻々と変化しています。そう、音は常に変化しているのです。簡単に言うと時間経過とともに、「音量の変化、音色の変化、ピッチの変化」などをしています。これらの時間変化のパターンを作り出すことができるのが「エンベロープ・ジェネレーター」です。その中でも、「音色の時間的変化」を決定するのが「フィルター・ エンベロープ・ジェネレーター」です。
ちなみに「音量の時間的変化」を決定するのが、「アンプ・エンベロープジェネレーター」。アンプ・エンベロープジェネレーターについては以前記事で紹介しました。さらにシンセサイザーによってはエンベロープ・ジェネレーター(EG)で音程の変化(ビッチの変化)も設定することができます。今回は「フィルター・エンベロープ・ジェネレーター」、すなわち「音色を時間的に変化させる」EGついての記事です。
フェルター・エンベロープ・ジェネレーターのパラメータ
パラメーターとはつまみのことですね 。シンセサイザにはご存知、パラメーターがいっぱい付いています。これらが整理できていないと気持ち悪いと思うので、先に「フィルター・エンベロープ・ジェネレーター」関連のパラメーターを説明したいと思います。以前書いた記事、『シンセサイザーのフィルターの基本』とも関係するので参考にして下さい。
もう一度確認しますが、フィルター・エンベロープ・ジェネレーターは「音色が時間的にどう変化するのか」をコントロールするものです。
この図で説明します。
簡潔に言うと。①のCUTOFFで設定した値を基準として、音を鳴らした時、①のCUTOFFで設定した値の音色からスタートして、②のフィルターADSRでフィルターの開閉を時間的にコントロールします。その効きの強さを決定するのが③のENVELOPE(エンベロープ)です。フィルター・エンベロープを操作していて混乱してしまったら、この事を思い出してください。
①CUTOFF
CUTOFFでつまみで設定した周波数で音がなり始めることになります。カットオフは音色変化が始まる場所であります。ローパスフィルターが最もよく使用するので、ローパスフィルターで説明します。
ローパスフィルターの場合、右にまわしきっていると何もカットしていない状態になります。逆に左に回し切っていると全ての周波数をカットし無音状態となります。このCUTOFFで設定した周波数を基準として、その音色から鳴り始まり、②のフィルターADSRでフィルターの開閉を時間的にコントロールします。③のENVELOPE(エンベロープ)でその効きの強さを決定しますので、③のENVELOPE(エンベロープ)がセンターの「0」だと音色変化なしです。
②フィルターADSR
フィルターの開閉を時間的にコントロールします。言い方を変えるとフィルターのCUTOFFを「モジュレーション」します。「モジュレーション」とは「くすぐられて揺れる」事です。CUTOFFがくすぐられて揺れて、音色変化するのです。しかし③のENVELOPEがセンターの「0」だと「効果なし」となるので、フィルターADSRをいくら頑張って設定しても音色変化なしです。つまり③のENVELOPEがセンターの「0」だと、最初に設定したCUTOFFの値いを貫きます。大切なところなので、次回の記事で具体例をあげて説明します。
③ENVELOPE
③のENVELOPE(エンベロープ)はCUTOFFで設定した値を基準として、フィルターADSR設定をどれくらい効かせるのか? フィルターADSR設定でどれくらい音色を変化させるのか?を決定するパラメーターです。Amount(アマウント)と呼ばれることも多々あります。CUTOFFで設定した値を基準とするというところが大事です。
ENVELOPEのつまみの真ん中は「0」です。エンベロープがこの位置だとCUTOFFで設定した値を継続しますのでフィルターADSRを頑張って設定しても途中で音色変化は起こり起こりません。ENVELOPE(エンベロープ)を左右へ大きく振れば振るほど、途中の音色変化が激しくなります。すなわち、
ENVELOPEを基準値のゼロから右方向(=+方向=正相)へ回していくとCUTOFFで設定した値の音からスタートし、フィルターADSRに従いCUTOFFが開く方向(CUTOFFが右側)へ変化します。ENVELOPEを右へ大きく振れば振るほど、フィルターADSRに従いCUTOFFが開く方向へ音色変化が激しくなります。
ENVELOPEを基準値のゼロから左方向(=−方向=逆相)へ回していくとCUTOFFで設定した値の音からスタートし、フィルターADSRに従い、CUTOFFが閉じる方向(CUTOFFが左側)へ変化します。左へ大きく振れば振るほどCUTOFFが閉じる方向へ音色変化が激しくなります。
まとめ
①のCUTOFFで設定した値を基準として、音を鳴らした時、CUTOFFで設定した値の音色からスタートして、②のフィルターADSRでフィルターの開閉を時間的にコントロールします。その効きの強さを決定するのが③のENVELOPE(エンベロープ)です。フィルター・エンベロープを操作していて混乱してしまったら、この事を思い出してください。
現代を代表する、最もポピュラーな DAW のひとつCubaseシリーズの最上位版です。
次回の記事で②のフィルターADSRについて、具体例を出して詳しく説明します。
「セブン アンド エイト ミュージック」の記事、最後までお読み頂きありがとうございました。