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ソナタ形式とは何か? わかりやすく解説

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ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどの偉大な音楽家が活躍した古典派音楽時代。この時代の音楽をまさに象徴する音楽形式に「ソナタ形式」があります。ハイドンがその形式を整え、モーツァルトやベートーヴェンがさらに深みを与えたとされるソナタ形式。ブラームスやシューマンなど、その後のロマン派を代表する音楽家にまで大きな影響を与えたソナタ形式とは何か? ソナタ形式をわかりやすく解説して行きます!

ソナタ形式の必要性

さー、そのソナタ形式。18世紀、19世紀のクラシックの名曲はほとんどがソナタ形式でつくられています。特にその時代の交響曲の第1楽章の多くがソナタ形式で書かれている。作曲家にとってソナタ形式は必須であり、作品を書く上で一番大切な形式なのです。ではなぜ、作曲家はこぞってソナタ形式を曲に取り入れたのか?
結論を言います。 それは「ソナタ形式が、長い曲を聴き手にわかりやすく伝えるための、構成のしっかりした優秀な楽曲形式だから」です。

音は消えてしまうもので、目に見えるものではありません。音楽を聴き手に分かりやすく、かつ飽きさせず伝えるには工夫が必要です。どこに大事なポイントがあるのか?どこで盛り上がるのか? 作曲者が作った音楽のドラマ、そしてその興奮と感動を伝えなくてはいけない。そのためには曲の構成が大切になってくるのです。長い曲、大曲になればなるほど曲の構成が大事であり、曲の構成は音楽にドラマ注入する上で欠かせないのです。ソナタ形式はその構成が非常に優秀なのです!!ソナタ形式は提示部・展開部・再現部の3つに分けれるのが基本

しかし大規模なソナタ形式では、序奏→提示部→展開部→再現部→コーダ という構成で進んで行きます。詳しく見て行きましょう!

「序奏」はまさに「助走」

ソナタ形式は基本的に提示部・展開部・再現部の3部構成ですが、大曲の場合には「序奏」が入ることがあります(もちろんソナタ形式では序奏がない場合も多々ある)。 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「悲愴」第1楽章では、重々しい音で1分以上にわたり序奏が入ります。非常に斬新な切り口。しかもこの序奏が展開部で調を変えて登場し、さらに序奏のフレーズが最後のコーダにおいても形を替えて登場する。作曲家はいろんな意図で序奏をつけているのだろうが、このベートーヴェンの悲愴のように序奏に重きを置いている曲もあるのです。「序奏」はイントロとしての役割だけでなく、曲に勢いをつけるまさに「助走」なのです。

「提示部」で2つの主題を提示

「提示部」は曲を大まかに2つに分けた時の前半部分に当たります。この提示部で主題が提示されます。主題とは楽曲を特徴づけ、楽曲を展開させて行く時の核になる楽想です。「テーマ」とも言います。
この曲はこんな感じで進んで行きまっせ! こっから色々展開・発展してドラマ作って行くから、お茶なんて飲んでたらあかんで! 耳ダンボにして聴いときやっ! みたいな感じ……. 提示された音楽がこの後、展開・発展するわけだから、なんとしてもここで聴き手の心をつかみたい。だから提示部の主題提示は一番大切となります。

ソナタ形式の提示部において、主題(テーマ)は2つあります。第1主題(第1テーマ)と第2主題(第2テーマ)です。最初に出てくるのは第1主題。主調ではじまります。主調とはその楽曲の中心となる調です。この曲はハ長調中心で陽気に行きまっせ!とか、イ短調中心でせつなさ出します。泣いてもえ〜んやで〜 酒くらい付き合うで〜 ….. ということ。第1主題は曲の始まりであり、かつ、曲全体の中心になるとこ。ここで聴き手の心を掴みたいわけなので ちょー大切。

第1主題の後は推移を経過して転調し、第2主題へ入ります。ここでメロディーのキャラクターが変わり、場面転換するわけです。第1主題と第2主題は対照的な性格であることが多い。これにより、さらにテーマの広がりをみせて聴き手を引き込みます。例えば J-POPでもAメロとBメロが似た感じだったら、味気ないですよね。聴き手を飽きさせず、引き込む心理的なテクニックが「提示部」で用意されているのです。
第1主題から第2主題への転調の仕方ですが、主調(第1主題)が長調なら5度上の属調へ、主調が短調なら平行調の長調になることが多いです。しかし、これはあくまで原則で、例外もたくさんある。

提示部では次の展開部に入る前に、「コデッタ」がつくこともあります。何事もスムーズに次に引き継ぐのが好ましい。スムーズじゃないと違和感を感じる。次の展開部へ違和感なく、スムーズにバトンを渡してあげる役割を果たしているのが「コデッタ」です。前半の締めくくりとして大切です。(コデッタの後に再び提示部をリピートすることもある。ベートーヴェン 交響曲第5番 「運命」とか)

盛り上がり冒険する「展開部」

ソナタ形式では「展開部」から曲の後半となります。展開部はドンドン曲を盛り上げていくとこ。第1主題(第1テーマ)と第2主題(第2テーマ)を延々と繰り返すだけだと聴き手は飽きますよね。だからここで聴き手を飽きさせず、さらに引き込む必要がある。それが展開部。

提示部に出てきた2つのテーマやモチーフを元に展開されることが多い。2つのテーマ両方を用いて展開させることもあれば、提示部の1つだけのテーマを展開させる場合もある。また提示部で出てきたコデッタや、序奏を展開させる場合もある。非常に自由度が高く作曲上の決まりもない。作曲家も気合い入れてます。アンタ、この展開部で鼻なんかほじってたらベートーヴェンはんに怒られまっせ。キレられまっせ。ここの展開部、ベートーヴェンはん、かなり気合い入れてますさかい….  みたいな…

展開部では音楽がどんどん変化し、展開される。そのため転調もたくさんします。「この曲がここまで変わるんだ〜、すげ〜」と思わせるため、作曲家は知恵を絞り想像力を働かせ、インスピレーション高めて、どんどん主調から遠ざかるように転調し、曲を冒険させ、曲を盛り上げて行きます。冒険的だが同時に全曲中でもっとも緊張感が高いところ。ここが魅力的だと曲が本当に面白い。逆に言えば、作曲家&演奏家の腕の力量が問われるところ。やはり冒険した後はお家に戻って来ないと迷子になるので、展開部の最後に主調に戻る動きがある。

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そろそろまとめに入る「再現部」

自由度の高い展開部で新しいメロディーやフレーズを提示し、大いに冒険しました。そろそろ曲のまとめに入らないと、統一感がない曲になってしまいます。やはり曲としての最終的なまとまり、統一感は必要です。そこで「再現部」がその役割を果たします。

再現部は基本的には提示部と変わりません。提示部再びあらわる!という感じ…   再現部では再び主調に戻ります。しかし今度は第2主題でも転調しないで(提示部では転調して第2主題へ入りましたネ)、主調または同主調(ハ長調とハ短調とか、ト長調とト短調とかの関係が同主調)で演奏されることになります。例外的に再現部の第1主題が主調でないときもある。

ソナタ形式の一番大切なところですが、 提示部では転調して緊張感があった第2主題が、再現部においては主調または同主調で演奏されます。ここへ来て、緊張感が低くなり調整が解決されるのです。ライバル関係にあった第1テーマくんと第2テーマくんが、最後に手をとり、曲の終結に向けて一緒に歩み出す。涙ですね….. 第2テーマくんは第1テーマくんにこう言っていますよきっと。「俺お前のこと嫌いやった。お前なんか、いなければいいと思っとった。でもそれはたんに、俺のお前に対する嫉妬だったことに気がついたんよ…. 今までごめん… ラーメンおごるわ..」

話を戻します。提示部と再現部で全く一緒だと面白くないですよね….. だから作曲家によっては再現部でも一時的に転調をしたり、変化や展開をさせて提示部と少し変えている場合もあります。この再現部で曲が終わることもあります。しかし、すばらしい曲ができればできるほど、作曲家だって興奮がおさまらないもの! そうした場合、次の「コーダ」へと続きます。

「コーダ」でもうひと暴れ!

音楽家は最後にもうひと暴れしたいものです。作曲家が言い足りない、まだまだ叫びたい! 俺の興奮は冷めぬ!ふんぬっ! と思った場合は全曲の終わりとして「コーダ」がつくことがあります。このコーダを作曲をしている時には、作曲家は興奮して相当鼻が広がっていることでしょう….  最後にもうひと暴れするところがコーダです!(コーダが無く、再現部で曲が終わる場合もある)

もともとそこまで大きくなかったコーダ。しかし、このコーダに重きを置き、第2の展開部として大いに活用している音楽家もいます。特にベートーヴェンはコーダに力を入れている作品が多いです。例えばベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第14番 「月光」の第3楽章や、ベートーヴェン  交響曲第5番「運命」の第1楽章などは、ベートーヴェンのコーダにおける気合いが感じられます。

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関連記事→ベートーヴェンが行った音楽革新 

このコーダを曲の終結として、作曲家が魂を込めたつくった曲がクライマックスを迎え、聴く人々を感動へと導くのである!!

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まとめ

「ソナタ形式は、長い曲を聴き手にわかりやすく伝えるための、構成のしっかりとした優秀な楽曲形式」である。ソナタ形式というテンプレートを知っているとクラシックをより深く味わうことができる。

「序奏」はイントロとしての役割だけでなく、曲に勢いをつけるまさに「助走」

「提示部」で最も重要な2つの主題(テーマ)が提示される。この曲はこんな感じで進んで行きまっせ! こっから色々展開・発展してドラマ作って行くさかい、お茶なんて飲んでたらあかんで! のところ……..

「展開部」で音楽がどんどん変化し、展開させ、曲を冒険させ、盛り上げる。そのため転調もたくさんする。「この曲がここまで変わるんだ〜、すげ〜」のところ……

「再現部」で提示部で出てきた2つの主題(テーマ)が再び登場!曲のまとめに入っていく。第1テーマくんと第2テーマくんが、最後に手をとり、曲の終結に向けて一緒に歩み出す ところ…..
でも作曲家は興奮している! 言い足りない時だってある そこで….

「コーダ」で第2の展開部と言わんばかりにもうひと盛り上がりさせる。作曲家は鼻を広げ、曲の終結に向け、クライマックスに向け叫ぶ!

ソナタ形式を理解して、クラシックをより身近なものにしましょう!

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SEVEN&EIGHT MUSIC(セブン&エイト ミュージック)のブログを最後までお読みいただきありがとうございました。

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